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「復興を応援したい」「経験を防災に生かせないか」。さまざまな思いを胸に、東日本大震災の被災地を訪れる人が増えている。ツアー参加者は今も深い爪痕を残す津波の猛威に圧倒され、住民の過酷な体験に涙する。宮城県南三陸町で中心となってツアーを受け入れている町観光協会は、共感の広がりが、繰り返し町を訪れるリピーター獲得にもつながると期待している。
◎参加者、ため息・涙・絶句/地元「学びの場として訪れて」
「左手に見えるのが戸倉小です。子どもたちは近くの高台に逃げ、この世の地獄を見ながら寒い一夜を明かしました」
町中心部が津波で壊滅的な被害を受けた南三陸町を4月21日、バスツアーが訪れた。鉄骨がむき出しとなった戸倉小体育館のそばで停車し、地元の震災語り部ガイドの菅原清香さん(60)が震災当日を振り返ると、車内からはため息が漏れた。
ツアーはJTBグループが扱い、全国から個人旅行者10人が参加した。南三陸のほか、岩手・平泉や宮城・松島、山形・山寺を2泊3日で回るプラン。南三陸町でのプログラムには町観光協会が協力し、津波浸水地域を3時間かけてじっくりと回った。
「あぁ…」。大破した船や、患者が大勢亡くなった病院を目の当たりにして言葉を失う参加者。「家族を亡くし、まだ家から一歩も出たくない人も大勢いる」。菅原さんが体験を交えながら話すと、涙ぐむ人もいた。
被災地の住民感情に配慮し、仮設住宅の前ではバスから降りない。犠牲者が多数出た防災対策庁舎などを巡る際も、原則として車窓から見るにとどめる。一行は志津川地区の仮設商店街に移動して、被災の実情を伝えるスライドや写真パネルを見学した後、海産物などの買い物を楽しんだ。
京都府宇治市から夫婦で訪れた建築士桂浩子さん(49)は「被災地を訪れるのは不謹慎でないかと迷いもあった。個人では不安なためツアーに参加した。買い物をして少しでも復興のお手伝いができればいい」と話した。
友人3人と訪れた愛知県稲沢市の喫茶店経営水谷愛子さん(68)は「『百聞は一見にしかず』。帰ったら知人に実情を伝え、機会があればまた来たい」と語る。
震災体験を話す語り部を務めるのは、町内の「ガイドサークル汐風」のメンバー。団体の視察なども含め依頼が相次いでおり、6月までは予約でいっぱいという。
町観光協会の及川和人さん(31)は「震災で何を失い、何を学んだのか、ガイドが町民だから重みを伝えることができる。学びの場として訪れてほしい」と強調した。
産業の柱だった観光の復活は町の復興に欠かせない。「今後は漁業体験などを組み合わせ、積極的な情報発信も検討する。ツアー客に繰り返し足を運んでもらうよう努力したい」と及川さん。将来の観光需要を支えるリピーター拡大に意欲を見せる。
◎参加者、ため息・涙・絶句/地元「学びの場として訪れて」
「左手に見えるのが戸倉小です。子どもたちは近くの高台に逃げ、この世の地獄を見ながら寒い一夜を明かしました」
町中心部が津波で壊滅的な被害を受けた南三陸町を4月21日、バスツアーが訪れた。鉄骨がむき出しとなった戸倉小体育館のそばで停車し、地元の震災語り部ガイドの菅原清香さん(60)が震災当日を振り返ると、車内からはため息が漏れた。
ツアーはJTBグループが扱い、全国から個人旅行者10人が参加した。南三陸のほか、岩手・平泉や宮城・松島、山形・山寺を2泊3日で回るプラン。南三陸町でのプログラムには町観光協会が協力し、津波浸水地域を3時間かけてじっくりと回った。
「あぁ…」。大破した船や、患者が大勢亡くなった病院を目の当たりにして言葉を失う参加者。「家族を亡くし、まだ家から一歩も出たくない人も大勢いる」。菅原さんが体験を交えながら話すと、涙ぐむ人もいた。
被災地の住民感情に配慮し、仮設住宅の前ではバスから降りない。犠牲者が多数出た防災対策庁舎などを巡る際も、原則として車窓から見るにとどめる。一行は志津川地区の仮設商店街に移動して、被災の実情を伝えるスライドや写真パネルを見学した後、海産物などの買い物を楽しんだ。
京都府宇治市から夫婦で訪れた建築士桂浩子さん(49)は「被災地を訪れるのは不謹慎でないかと迷いもあった。個人では不安なためツアーに参加した。買い物をして少しでも復興のお手伝いができればいい」と話した。
友人3人と訪れた愛知県稲沢市の喫茶店経営水谷愛子さん(68)は「『百聞は一見にしかず』。帰ったら知人に実情を伝え、機会があればまた来たい」と語る。
震災体験を話す語り部を務めるのは、町内の「ガイドサークル汐風」のメンバー。団体の視察なども含め依頼が相次いでおり、6月までは予約でいっぱいという。
町観光協会の及川和人さん(31)は「震災で何を失い、何を学んだのか、ガイドが町民だから重みを伝えることができる。学びの場として訪れてほしい」と強調した。
産業の柱だった観光の復活は町の復興に欠かせない。「今後は漁業体験などを組み合わせ、積極的な情報発信も検討する。ツアー客に繰り返し足を運んでもらうよう努力したい」と及川さん。将来の観光需要を支えるリピーター拡大に意欲を見せる。
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