2015年7月15日水曜日

京料理の高級魚…ホンモロコ養殖

海洋高、閉校プールで

  • ホンモロコの稚魚をプールに放つ府立海洋高生(宮津市で)
    ホンモロコの稚魚をプールに放つ府立海洋高生(宮津市で)
  • 養殖されるホンモロコの稚魚
    養殖されるホンモロコの稚魚
 京都府宮津市の府立海洋高・海洋資源科3年生8人が14日、今年3月に閉校した小学校のプールを活用して、京料理に使われる淡水魚「ホンモロコ」の養殖を開始した。
 実習の一環だが、将来の事業化を見据えた取り組みで、まずは養殖技術の確立を目指す。
 ホンモロコは、素焼きや甘露煮などにするとおいしい高級魚で、京料理の食材の一つ。本来は琵琶湖の固有種だが、外来魚などの影響で激減しているという。
 海洋高では養殖の事業化に向けて、2012年から校内の水槽で飼育を開始。13年に約7キロ、14年には約20キロを京都市などの料理店へ出荷している。
 さらに規模を拡大するため、大量のホンモロコを養殖できる施設を探していたところ、昨年11月、事情を知った宮津市が、閉校が決まっていた市立上宮津小プールの利用を提案、実現が決まった。
 生徒たちはこの日、体長約2センチの稚魚約2万匹をプールに放した。最終的には計3万匹を移し、約半年間かけて体長10センチの成魚まで育てる計画。
 水槽よりも天敵の鳥などに狙われやすく、病気が発生した場合の管理が難しいといった課題があるが、生徒らは今後、夏休み返上で餌やりやプール掃除などをしながら、稚魚の成長を観察。様々な課題への対処法を考えていく。順調にいけば、12月頃には150キロの出荷量が見込めるという。
 ホンモロコ養殖班の班長を務める広瀬亮佑君(17)は「初めての取り組みで、色んな失敗を経験するかもしれないが、頑張りたい」と話していた。
2015年07月15日 12時37分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

2015年7月12日日曜日

ゲストハウス人気、男女トラブルも 宿泊所不足の京都で増加

京都市内の簡易宿所の数
京都市内の簡易宿所の数
 「ゲストハウス」と呼ばれる宿泊施設が、京都市内で相次いで誕生している。増える空き家の有効活用や、近年の外国人観光客の増加による繁忙期の「宿泊施設不足」の解消につながる可能性がある。一方で、無許可で営業するケースや、施設内での男女間のトラブル例もある。
■京都市内に推計350軒
 市によると、市内にはゲストハウスを含む「簡易宿所」が、7月3日現在498軒ある。明確な表示がない施設もあるが、この5年で市が許可した簡易宿所約200軒の大半はゲストハウスだ。魅力を紹介するホームページ「京都ゲストハウス総合案内所」を運営する吉田祐次さん(34)=東山区=は、市内での登場は2000年ごろとし、総数を約350軒と推計する。
 目立つのは町家を改修するケースだ。都市計画法などにより、簡易宿所を営業できない地域はあるが、比較的少ない資本で短期間にオープンできるのが特徴という。吉田さんのホームページでも登録する90軒のうち、下京区の「宿はる家Terrace」など、4割は町家を改装した。
 市内で居住者がいない町家は5千軒に上る。市は昨年度、空き家対策の一環で、ゲストハウスに活用する改修費で上限90万円を補助する制度を始め、すでに11件に交付を決定した。制度を利用し、5月に上京区で「京都西陣 たて糸庵」を開業した前田利一さん(65)は「京都らしさを感じさせる町家をつぶすのはもったいない。空き家対策に貢献できたら」と話す。
 市内の外国人宿泊客数は昨年度、過去最多の183万人に上った。高級ホテルの建設計画が相次ぐ中、吉田さんは「安価な施設で楽しむ外国人客のニーズは今後もあり、ゲストハウスが受け皿になる」とみる。
■男女相部屋で勘違い招く紹介も
 一方で、施設の特性からトラブルも出ている。京都市内のあるゲストハウスでは、男女混合の相部屋に宿泊した20代の男性が、初対面の20代の女性を触り、警察に通報したケースもあったという。全国には「恋愛できる確率60%」と雑誌に紹介される施設もあり、勘違いを招く恐れがある。市内の別のオーナーは「見知らぬ男女を一緒に泊まらせるのは抵抗がある」と、男女混合の相部屋は設けていない。
 また、ゲストハウスになじみの薄い近隣住民からは、夜間の騒音や火災などを警戒する声が上がっている。ある地域は、開業予定のゲストハウスに深夜に騒がない▽たばこや火気使用には十分注意する▽ごみは適正に出す-などを要望した。
 さらに、旅館業の営業許可を得ていない「ゲストハウス」もある。賃貸マンションの借り手が部屋をゲストハウスと称して許可なく「また貸し」し、大家とトラブルになるケースもある。下京区のある不動産会社は、こうしたケースで今年、4件の退去勧告を出した。ゲストハウスのホームページでは予約時に営業許可の有無が分からないケースもある。不正に憤る担当者は「まっとうに営業している施設が客を取られるなど悪影響を受けることになる」と指摘する。
■「玉石混交」改善を
 立命館大経営学部の石崎祥之教授(観光マーケティング論)の話 京都は国内でも特にゲストハウスが多く、外国人観光客が増える中、宿泊所不足や歴史ある空き家保存対策としては即効性がある。だが、一部では無許可営業など玉石混交な面があり、防犯面でもグレーな施設が増えたら心配だ。数が急激に増える中、緊急に課題に取り組むべきだ。営業許可を取るのが前提だが、行政が積極的に開業相談に乗ったり、業界で団体を作って情報を共有し、質の維持や向上に努力することが必要だ。

2015年7月6日月曜日

大学新卒で限界集落に“就職” 京都・久多、22歳女性の挑戦

「この時期は草刈りばかり」と慣れた手つきで機械を使う松瀬さん(京都市左京区久多)
「この時期は草刈りばかり」と慣れた手つきで機械を使う松瀬さん(京都市左京区久多)
 「この時期は草刈りばっかりです」。3カ月の経験とは思えない。松瀬萌子さん(22)は慣れた手つきで機械を扱い、管理人を務める市民農園で駐車場の草刈りを始めた。
 今年4月、京都府立大卒業と同時に京都市左京区久多に住み始めた。出身は佐賀県有田町。「田舎が嫌で京都に出てきたはずなんですが、また田舎に来てしまいました」。
 久多は京都市中心部から車で1時間強。標高約400メートルの限界集落だ。人口80人超で高齢者が大半。集落にはスーパーはもちろん、コンビニもない。
 高校生までは、都会にあこがれていた。関西の大学を選んだのも「都会」が理由だった。
 しかし入学後、考えが変わった。野菜の旬、ゆずこしょうや竹籠の作り方など、故郷の母親の持っている知識や感覚は、都会では育めない。「地方の持っている豊かさに気付き、自分は何も受け継いでいないと思った」。「田舎」が、自らのテーマになった。
 大学生活も後半を迎え、周囲と同様に就職活動もしたが、ある時「自分がストップしてしまった」。企業に向いていないと思い、受けるのを辞めた。
 同じ頃、「村留学」というイベントに参加し、久多を訪れた。温かい人々、光るせせらぎ、連綿と残る伝統行事。「全てが美しく感じた」。イベント運営団体の代表者に「久多に住みたいか」と聞かれ、「住みます」と答えていた。
 以降、何度も久多に通った。「どうやって春から暮らすか」を念頭に卒業論文も久多をテーマに執筆した。
 家は10年ほど空き家だったものを、所有者の隣家の男性が貸してくれた。仕事は住民らのあっせんで花背と久多3カ所にある市民農園の管理人を務めることになった。
 広い家で一人、寂しさを感じることもある。「独り暮らしのお年寄りも同じなんですよね」。にぎわい創出に決意をのぞかせる。
 新卒で久多に住むなんて珍しいと言われるのが、納得いかない。「風変わり」ではなく、久多に引かれて住んでいるから。「もっと久多のことを知り、久多を訪れる若者を増やしたい」と願う。
 「田舎に興味ある人はもっといるはず。私がスタートラインになって、久多に住むという選択肢もあるんだと知ってもらいたい」