京都府伊根町の舟屋
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「舟屋」で知られる京都府伊根町は丹後半島にある漁業の町だ。ここで干しなまこの製造販売業を営む高橋貴誠さん(53)は夫婦で神戸市から四年前に移ってきた「Iターン」組。高橋さんが目の当たりにしたのは急速に進む人口減と未婚男性の増加だった。そこでこの夏、有志で都会から未婚女性を伊根に招き、出会いの場を提供する「街コン」計画を進めている。
街コンの打ち合わせのため、高橋さんの店に宇治市出身で昨年七月から漁師見習として働く独身の入山圭吾さん、地域活性化に取り組む梅田早知子さん、京都府唯一の海女大西幸子さん、遅れて成美大地域活性化センターの中尾誠二教授が駆けつけた。
「タイトルは『いいね! 伊根で結婚』、縮めて『伊根コン』はどうだろう」「伊根の魅力を知ってもらうために女性に効果的なアピール方法は」などと話が弾む。入山さんは「漁師見習中で、まだ結婚は早いが、いい機会なので参加したい」と話す。
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高橋さんは三十八歳頃から海辺での第二の人生を考え始め、十年かけ伊根を選んだ。最初は漁師を考えたが、漁業権を取得するのに時間がかかる。そこで伊根でとれる大きな黒ナマコに目を付けた。というのも「前の会社で、台湾に出張し、干しなまこ料理をいただいた。おいしいから神戸の中華街で食べようとしたら、めちゃ高い。そんなら自分で作ろう」と試行錯誤の末、中華料理の高級食材干しなまこ製造を身に付けていた。その技術が生きた。
舟屋をバックに、「伊根コン」の打ち合わせをする(右から)高橋貴誠さん、梅田早知子さん、大西幸子さん、入山圭吾さん
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伊根産のナマコとアワビの乾物を製造する来福(Life)水産を設立。昨年四月、地元でも干しなまこのおいしさを知ってもらいたいと飲食店「なぎさ」を開いた。店で未婚の男性から「神戸の女性を紹介して」と何度もせつかれた。
「四年前三千人だった人口が今二千四百人足らず。女性は高校を卒業して町を出る。二十代から四十代の男性の未婚率は高い。外から漁師見習で若い男性が入ってくる。嫁探しは深刻な問題で一肌脱いだのです」
湾を囲んで立ち並ぶ舟屋は一階が舟の「駐車場」、二階部分が住居で、海と一体化した光景が美しい。国から重要伝統的建造物群保存地区に指定され、映画「寅さん」や「釣りバカ」シリーズ、NHK朝のテレビ小説の舞台にもなった。伊根コンに関心のある方は電0772(32)0022「なぎさ」まで。フェイスブックは「伊根コン」で検索。
(松川貴)
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