2012年9月17日月曜日

原発避難者の移住・保養支援で全国の団体が連携、協議会設立

 

「福島の方々が気軽に足を運べる『週末保養センター』のような場所が必要では」と語る共同代表の佐藤さん
 福島第1原発事故に直面した福島県の人々を、保養や移住の受け入れ態勢を充実させることで支えようと、支援団体が連携して「311受入全国協議会(略称・うけいれ全国)」を発足させた。保養などに関する情報を発信するほか、中長期的な視点で避難者や避難を望む家族の受け皿づくりを考える。共同代表の一人には、避難者を多く受け入れる山形県から、山形市のNPO「毎週末山形」代表佐藤洋さん(44)が就いた。

 「うけいれ全国」には田沢湖のびのびキッズプロジェクト(秋田)、東北ヘルプ(宮城)など東北の支援団体をはじめ、北海道から九州まで全国の20団体が参加。4日に東京で記者会見を開いて設立を表明した。
 当面は(1)受け入れ情報の共有と、保養・移住希望者のニーズに合った情報の提供(2)保養データベースの運用(3)保養の質の向上(4)被災地や避難先での相談会開催-などを柱に活動を展開する。
 これまでは、避難者受け入れや保養の取り組みを束ねる全国規模の組織がなく、連携強化を求める声が強まっていた。今後、賛同する団体に参加を呼び掛ける。
 共同代表は3人制で、佐藤さんは東北を代表する。山形県内では現在、約1万2000人の避難者が暮らす。福島から数日間の保養に来る人も多く、「毎週末山形」は週末を利用した保養企画などを手掛けている。
 佐藤さんは「苦悩する福島の方々の真のニーズが、山形は最も可視化されている。ニーズを全国に発信し、避難者に寄り添おうとする思いと行動をつないでいきたい」と決意を語る。
 支援関係者らによると、原発事故から1年半がたち、福島県内では「避難や保養を表立って言い出しにくくなった」「福島を離れて暮らしていることに負い目のようなものを感じる」といった声が聞かれるという。
 うけいれ全国は状況の変化に配慮し、きめ細かな対応を目指す。佐藤さんは「受け入れに取り組んできた全国のノウハウをつなぎ、持続していける態勢を整えていきたい」と話している。