■深めた絆、定住の支え
 田中利行さん(66歳)・彩さん(33歳)
 ヒノキの枝でつくったカーテンの奥から赤ん坊の元気な泣き声が聞こえた。富山県小矢部市で林業と木工業を営む田中利行さん、彩さん夫妻と長男の竜生君(2)に、今年1月、新たな家族が加わった。双子の創志君と俊英君だ。2012年夏に「人生の楽園」に登場して頂いた時以上のにぎやかさと聞き、田中さん一家を再訪した。
 40歳を過ぎてスキー場のパトロール隊員になり、その傍ら木こりの技術も身につけた利行さんと、木や田舎暮らしが好きだった彩さん。10年5月に京都から小矢部市に移り住んだ。利行さんは市の「地域おこし協力隊」に採用され、森林の整備を担っていた。
 3年間の契約だった協力隊は昨年4月に一区切り。2人はその後も小矢部市に残った。協力隊の仕事の合間、地元の人たちの森の手入れなどを手伝い、地域と絆を深めたのが功を奏し、仕事が舞い込んだ。山を切り開いたり、間伐したりする作業を請け負い、木でイスやテーブルもつくっている。
 協力隊時代の収入は月十数万円で、今も同程度の収入が得られている。約3千平方メートルの畑がある家の家賃は月2万円。夫婦で野菜を育て、富山湾でとれた魚も安く手に入る。ぜいたくしなければ十分暮らせる。
 3月、東京の専門学校を卒業した久川翔大さん(20)と尾和瀬将人さん(20)が弟子入りしてきた。高校生の時に林業の実習で田中さん一家と出会い、仕事や暮らしぶりに憧れた。夫婦が面倒を見る“子どもたち”は5人に。利行さんは「グローバルな生き方ができる人材に育てたい」と話す。(大西元博)
     *
 山や庭の整備、ログハウスや家具を注文に応じてつくる。電話090・3896・2043(18~21時のみ)
     ◇
 この記事はテレビ朝日系「人生の楽園」と連動しています。田中さん夫妻の回は、12日午後6時から放送予定です。