2015年5月4日月曜日

生きる力を育む 脚光浴びる教育旅行(中)

2015年5月4日

 全国各地に教育旅行の候補地がある中、関西圏の学校が鳥取県を選ぶ理由は、豊かな自然体験ができる環境だけではない。地元住民との触れ合い、児童生徒の安心安全を求める意識の高まりがある。
梨狩り体験する菅北小の児童ら=2014年10月、倉吉市関金町(倉吉市体験型教育旅行誘致協議会提供)

■安心安全と非日常

 奈良北高(奈良県生駒市、徳地末広校長)は2013年から、2年生を対象に鳥取県を中心とした教育旅行を継続。今年も6月末に訪れる予定だ。
 同県を選んだのは11年に教育旅行先だった長野県で地震が発生し、宿泊先の近くで土砂崩れが起きたことがきっかけ。12年は九州へ行ったが、片道の移動で半日以上を要するため活動時間が制限される課題が残った。
 そこで、車で片道3~4時間の距離と自然災害のリスクが少ない鳥取を候補地にリストアップ。昨年の教育旅行を担当した古川年昭教諭は「大きな台風が来ても被害があまりなく、何かあってもすぐに戻ることができる。生徒を安心して連れて行ける」と語る。
 昨年は、鳥取県をはじめ、島根、岡山両県を巡る日程。鳥取市の鳥取砂丘でパラグライダー、多鯰ケ池でのカヌーといったアクティビティーを楽しみ、白壁土蔵群がある倉吉市、出雲大社など生徒が希望する場所に分かれて行動した。
 生徒たちの反応は上々。同校3年生の野村麻衣さん(17)は「岩美町でのクルージング体験の帰りに二重の虹が端っこまできれいに見えた。普段の生活で見られないことに出合え、貴重な体験ができた」と振り返る。
 古川教諭は「生徒たちの感想を聞く限り、大人になっても鳥取の思い出を話してくれると思う」と話す。

■鳥取に残るもの

 大阪市内の小学校で唯一、教育旅行で鳥取県を訪れている菅北小(同市北区)。木に登ったり、カヌーをこいだりする児童たちの姿を収めたアルバムは同校の“宝”だ。
 「大阪市内でもこんなアルバムを作ることができるのはうちだけ。地元の人の熱意がなければ続けられない」と話す大塚栄嗣校長。同校は13年から倉吉市関金町を拠点に教育旅行を実施している。
 大山池でのカヌーやツリーイング(木登り)、サイクリングなどのアクティビティーは、児童の心と体を一回り成長させる。地域住民の協力で梨狩り体験や星空観察、鳥取砂丘も見学し、児童たちからは「楽しい」「鳥取砂丘ってすごい」などと歓声が上がった。
 児童たちは用意された自然体験プログラムを淡々とこなすだけではない。焼きいもをもらうなど地域住民とのコミュニケーションも貴重な体験となる。
 大塚校長はこう強調する。「行政を含めて地元の人には児童たちへの温かい気持ちがある。人との触れ合いを感じることは児童たちにとって大切。鳥取にはそれが残っている」
 アクティビティー リゾート地など旅先での活動や行動の総称。鳥取県内では、岩美町で取り組まれているカヌーの船体が透明なクリアカヌー、国立公園大山での登山などが例に挙げられる。

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